テクノ遍歴とdeadmau5の影響

社会人になり最初の夏休み、初日である。
今日は台風が来て大雨だし、もともとなんの予定もないので一日中家にいた。ここ最近は特に土日にlomの奴らと遊ぶことが多かったので久しぶりに学生の頃のような休日を過ごしたと感じた。やったことといえば機材を適当にいじり一曲アップロードしただけだが。やはり俺の精神は休みが2日だけではないということに影響されているのだろうか。曲の反響もないし(個人的には今回の曲はつかみが良くないのであんまり受けないと思っていたけども)やることがないので7時半頃から酒を飲みはじめ、肴にdeadmau5の2014年のUMFを聞いてみた。改めて聞くと俺の現在のテクノにおける嗜好がかなりつあっていたのでこうして筆を取っている。飲酒時の思考は鰯なので前置きはこのあたりにしておく。

 

2014年 deadmau5 のUMFへの感想


この配信はリアルタイムで見ていたような気がする。中学生の頃は基本的にdeadmau5の配信は見ていたので記憶は定かではないが、セトリから2時間ほど遅れていたので何度も特設ページにアクセスして確認した。まだレゴをやっていたので自室の床をレゴまみれにして見た記憶がある。
deadmau5は大きなフェスのほうが手を抜かないとうこだわりがあり、このライブも視覚効果はもちろん、DJセットではなくlaunchpadなどを用いたライブセットであった。彼は作曲においてもハード・PCで作成した8小節ほどのドラムパターンを保存しておき組み合わせる手法なのでライブセットもこの応用であると思われる。そのせいかDJセットのようなトランジションが存在しない。(それ故中学生だった私は日本語の紹介記事などで「世界的に有名なDJ」と紹介されることに違和感があった。)時期は定かでないここから数年後にはgulaから始まる同じセットを繰り返すようになってしまったので、大変悲しく思った記憶がある。
最初のトラックはcoelacanthと raise your weapon ミックスである。while(1<2)が出たのは2014年なので順当である。次に流れるyour ad hereはおそらく正式にリリースされる前のボーカルサンプルが入ったバージョンだ。この曲はパート末尾に完全な無音が入る画期的な曲であったが、正式リリース版では無音の最後に入るボーカルのパートが削られていっしまっている。
その次の曲はタイトルが分からないが、EDMではないテクノ寄りの原体験の曲である。
当時の私は曲をディグってはいたが、その範囲は大変狭くdeadmau5が運営していたmau5trapというレーベルのものしか聞かなかった。その中でもEDMではないテクノに近いアーティストがeekkooで、彼がSoundCloudでlikesに入っていたので聞いていた。2013年13歳の私にはいささか単調であると感じたが、聞き続けているとハマるものがあった。言うまでもないがテクノは反復が根底にある。ヒップホップも反復がある。(近年はジャンルが相互に取り入れあっているので分かりづらいが90年代のものを聞けばわかるだろう)逆にR&BやJポップは旋律がある。(ロックのことはよくわからないので触れません。)この旋律というはストーリーであって、Aメロ、サビを繰り返すことは反復ではない。私が聞いていた2012年のEDMはトランスの流れから来ていたので反復は存在していたがわかりやすいリードシンセによる旋律/ストーリーへの誘導があった。ただAメロではメロディがありサビは無機質なものであり、ハイブリットなものだったのだ。メロディのわかりやすい曲は流行りやすいし、何より聞きやすい。これはEDMの発展機だけでなく他の多くの流行曲をみれば明らかである。かくいう中学生の私も入り口はこの聴きやすさであった。私が特にdeadmau5にハマった理由はこのハイブリットさのバランスにあったと思われる。ghost 'n' stuffのようなメロディアスな曲ももちろん好きだったが、当時作っていたプレイリストを思い返すにmoar ghost 'n' stuffのようなサビの反復さがある曲が好きだった。ただ、私はだんだん旋律そのもののストーリー性よりもその短いメロディの作り出す空間の広さや明るさが好きになっていった。特に私が想像されるのはunityで作ったようなきれいで明るい3DCGIの部屋や草原であることが多かった。90年代の彼の曲はもっとハウスによっており、反復を基調とし、上モノのシンセも32小節を使ってちょっとずつカットオフが変化していくものであった。

youtu.be

 

出典は不明だが、house is feeling, techno is landscapeとはよく言ったもので、名曲とされるハウスを聞くとその曲の持つ感情があったときの実際の記憶が思い出されることが多い。一方テクノはその音から連想される風景が想像されて、それを見たときの記憶が心に投影される気がする。

deadmau5はその後、上記の音で想像される風景が浮かばない曲が増えていったので、2016年頃から聞かなくなってしまった。私の感受性が増えたのか、減ったのか、定かではないが、おそらく単純に好きなアーティストもジャンルも増えていったことが原因であろう。deadmau5が好きじゃなくなったことに関しはじめはショックを感じていたが、初行為の失恋から立ち直るだけの元気はあった。

高校生の頃はgoogle play music(googleがやっていた音楽配信サービス。これ結構前に終わってるんですね。普通にびっくりしました。)やspotifyを一般料金で利用したことにより聞くアーティストもジャンルも急激に増え、初期のフューチャーベースやtemples、sound providersを聞いていたのでその流れで大学一年のなかばまでテクノを聞くことを忘れていた。当たり前かもしれないが作りたい曲は自分の好きな感じの、しかしこの世にはない曲である。前者の作りたい局を思い出すのにこのライブはよかった。


あ、ごめん原体験全部rezzettとdima diskなので全部ウソです。